だぁぁむ ですとろーい

 ランス・アームストロング『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』読了。25歳で睾丸癌を患い、生存率20パーセントのそれを克服、レースに復帰しツール・ド・フランスで優勝、しかも七連覇。この本ではツールについてはそう書かれておらず、病気のことを中心とした自伝。当時の弱音めいたことも書かれてはいるけれど、読んだ感想は「強い」の一言。強すぎる。本文でも述べている通り、病気の前後でまったく違う人間に変わっているようだけど、タフさはもとより根底にある。
 今年のツールでは、現在ランスは個人総合二位。一位でチームメイトのコンタドールを勝たせる気なのか、エース二枚で優勝も視野にいれているのか。まあなんというかチーム・アスタナがガチガチに手堅くレースを作っている感じで、個人的には日本人選手二人の方が気になる。日本人初のツール完走か。
 ランスってもう37歳なんだよな……チーム戦略がキマったにせよ、アラフォーでしかも引退から復帰してこの成績は、ほんと化物めいている。

 漫画もいくつか。藤田和日郎月光条例』五巻。正負いずれの意味でも盛り上げて盛り上げて突然どーんとひっくり返す氏の作風は好みだ。『からくりサーカス』の「ぜ ひ っ」とか。『月光条例』ではまだそれほどのインパクトはないけれど、今巻も全体的に面白い。だむ ですとろい。
 物が壊れても人が死んでも月打を正せば元通りという設定だと、「人殺しは死ぬ、改心した人殺しは格好良く死ぬ」という藤田節がどうなるのかが気になるところ。氏の童話に対する意見については他作でも目にした覚えがあるけれど、となると不幸な話を軒並みハッピーエンドにするばかりだろうか。正の意味でのひっくり返し。ブラァックな気分にもなりたいけどそれはそれで。

 菊地昭夫サクリファイス』一巻。近藤史恵の同名小説の漫画化。小説は以前に読んで内容は知っているけれど、自転車やレースの絵を見たくて購入。三ヶ月連続刊行らしい。本でも自転車モノが増えてきている。今週も、高千穂遙ヒルクライマー』が出るし、けっこうなこってす。